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花粉症で眠くなる理由と対策 花粉症による眠気の3大要因

花粉症で最も多い症状はくしゃみ・鼻水・鼻詰まりですが、日中の眠気に悩んでいる人も花粉症患者の50%にものぼります。

眠気、というとまず「抗ヒスタミン薬の副作用」を考える方も多いと思いますが、花粉症自体にも眠くなるという作用があります。

ここでは、抗ヒスタミン薬も含めて、「花粉症の眠気」の原因と対処法を見ていきたいと思います。

花粉症による眠気の3大要因

花粉症自体の影響(自律神経の乱れと免疫力の低下など)

自律神経とは、腎臓の拍動や呼吸・消化吸収など、意識しなくても働いている神経系のことを指します。

自律神経には2種類あり、一つは活発に活動しているときに優位になる「交感神経」。
もう一つはリラックス時に優位になる「副交感神経」です。

これらは一方が優位になると、もう一方は活動を縮小します。
シーソーのようなものだとお考え下さい。

花粉症が強く出るのは副交感神経が優位な時だと言われています。
花粉症では自律神経の乱れが起こりますので、それが眠気につながっていることが考えられます。

さらに、冬から春にかけての時期は寒暖差が大きいため、もともと自律神経が乱れやすい状態にあるので、それが眠気を催す場合もあります。

また、花粉症は免疫機構の過剰活動によっておこります。
アレルゲン(アレルギー物質)が体内に入ってくると、肥満細胞(マスト細胞)から「ヒスタミン」「ロイコトリエン」「トロンボキサン」「プロスタグランジン」「インターロイキン」などのケミカルメディエーターという物質が放出されます。
これらの中には眠気を引き起こすものが複数あり、これが花粉症の眠気につながります。

寝不足・睡眠の質の低下

夜、眠るときはリラックス状態を生み出す「副交感神経」が優位になります。
先にも述べたように、副交感神経が優位な時に花粉症の症状は強く出ます。
くしゃみ・鼻水・鼻詰まりも強く出るわけですが、この「鼻詰まり」が問題になります。

鼻詰まりによって、入眠が困難になったり、肺に送られる酸素が不足したりして睡眠の質が低下します。
また、くしゃみも厄介です。
このような理由で、夜の睡眠が阻害された結果、日中の眠気が起こります。

抗ヒスタミン薬の副作用

ヒスタミンは、アレルギー性のくしゃみ・鼻水・鼻詰まりなどを起こす物質ではありますが、同時に強い覚醒作用を持つ脳内伝達物質でもあります。
これを阻害するのが抗ヒスタミン薬なのですから、眠くなるのは当然です。
花粉症症状を抑える効果が高い薬は、副作用の眠気も強く出る傾向にあります。

特に「第1世代抗ヒスタミン薬」は効果も高い代わりに副作用の眠気も強いです。
近年主流の「第2世代抗ヒスタミン薬」は、効果の強さもある程度継承させつつも、副作用の眠気を相当程度起こりにくく作られています。
昼間の眠気に悩まされている方は「第2世代抗ヒスタミン薬」を選ぶ方が無難です。

抗ヒスタミン薬の眠気がどうにも我慢ならないという方は、抗ヒスタミン薬の代わりに「抗アレルギー薬」を使うといった選択肢もあります。
抗ヒスタミン薬は肥満細胞(マスト細胞)から放出されてしまったヒスタミンをその受容体に結合する段階を阻害するお薬ですが、抗アレルギー薬は、肥満細胞からヒスタミン等を放出させない薬理作用を持ちます。
一段階前のところでアレルギー症状を抑えよう、という戦略です。

ただ、即効性に乏しく、花粉が飛散する2週間ほど前から継続して飲み続けないと十分な効果が発揮されません。
すでに激しい花粉症症状が出ている場合は抗ヒスタミン薬で対応するしかありません。

花粉症の眠気を防ぐには

花粉そのものを遠ざける

当然のことですが、花粉に接触しなければ花粉症は発症しません。

あまりに当たり前ですが、マスクの着用、帰宅時に服や髪に付いた花粉をよく払い落す、窓を開ける回数を少なくする、布団を外干ししない、外干しするなら花粉遮蔽シートを使う、空気清浄機や加湿器(花粉が水分を含んで床に落ちることが期待できます)を使う、まめに掃除機をかける、などで花粉の暴露を最小限にしましょう。

質の良い睡眠をとる

鼻詰まりを放置しておくと、睡眠に悪影響が出ます。
結果、睡眠不足で日中に眠いという状況を引き起こします。

対策の一つは、お湯に浸すか電子レンジで温めた濡れタオルで鼻の周りを温めることです。
鼻粘膜の血流がスムーズになり、鼻詰まりが軽減します。
お風呂に入るのも有効です。

また、就寝前1時間くらいにお風呂に入り、身体の中心の温度を上げておくと、1時間後くらいに体温が低下していきます。
人間は体温が下がっていくときに眠気を感じますから、入眠障害に有効です。

暖かい飲み物を飲むのも睡眠に効果があります。
ただし、カフェインを含むコーヒー・紅茶・緑茶などは眠りを妨げますから避けるようにしてください。
紅茶ならハーブティーがよいでしょう。

アルコールは一見眠りをよくするように思われますが、睡眠の質が低下したり、中途覚醒したりするので、入眠のためにアルコールを飲むというのはNGです。

ステロイド成分の入った点鼻薬を使用するのもよいでしょう。
また、「鼻うがい」という方法もあります。
これは、人間の体液と同じ浸透圧の生理食塩水(水1リットル当たり0.9gの塩を混ぜたもの)を人間の体温と同じ温度(36~7度)に調節して行うと、痛みもなく、快適に鼻を掃除することができます。

片方の鼻の穴かあらチューブ状の先端の付いた容器で生理食塩水を入れ、反対の穴・もしくは口から出すという手順で行います。
生理食塩水の代わりに市販の鼻うがい用溶液を使っても構いません。

「睡眠のために抗ヒスタミン薬の副作用の眠気を利用する」はNG

これは基本的にNGです。

抗ヒスタミン薬の副作用の眠気というのは、純粋な眠気ではなくて、脳の思考・判断力の低下によっておこるものです。
このような脳の作業効率の低下は「インペアードパフォーマンス」といいます。
眠気の副作用の強い第1世代抗ヒスタミン薬を睡眠薬代わりに使うと、睡眠の質そのものは下がってしまいます。

とはいうものの、鼻詰まりで眠れない場合、抗ヒスタミン薬は改善効果がありますから、メリット・デメリットをよく考えて使用してください。

眠くなりにくい抗ヒスタミン薬

仕事・勉強・自動車の運転など、眠くなることを避けたい場合、「第2世代抗ヒスタミン薬」を選択してください。

「第1世代抗ヒスタミン薬」はほぼすべて強い眠気を起こします。
市販のすべての第1世代抗ヒスタミン薬の添付文書には必ず、車の運転などをしないよう注意書きが書かれています。
眠気覚ましとしてカフェインが添加されているものもありますが、カフェインに脳の作業効率低下を改善する効果は期待できません。
アルコールで酔っ払った後にコーヒーを大量摂取しても集中力が戻らないのと同じです。

第2世代抗ヒスタミン薬は、成分が脳中枢に移行しにくく、第1世代抗ヒスタミン薬に比べて中枢神経抑制作用が軽減されています。

第2世代抗ヒスタミン薬の中でも、眠気の出る程度にはお薬ごとに差があります。
自動車運転への注意喚起という点からみてみると、添付文書上自動車運転に制限がないのは「アレグラ」「クラリチン」「ビラノア」「デザレックス」です。

注意すること、とした上で運転を認めているものに「タリオン」「エバステル」「アレジオン」があります。

従事させないこと、としているものに「アレロック」「ジルテック」「セルテクト」「ゼスラン」「ザイザル」などと、「第1世代抗ヒスタミン薬のすべて」が入ります。

自動車運転への注意事項がない(副作用の眠気が極めて少ない)お薬として「アレグラ」「クラリチン」「ビラノア」「デザレックス」を挙げましたが、「アレグラ」「クラリチン」には市販薬版があります。

「クラリチンEX」は第2世代抗ヒスタミン薬が使用されており、「クラリチン」のジェネリック医薬品である「ロラタジン」と同じ成分が含まれています。
成分は「ロラタジン」です。

「アレグラFX」も第2世代抗ヒスタミン薬で、処方薬の「アレグラ」と同じ成分が含まれています。
成分は「フェキソフェナジン塩酸塩」です。

「アレルビ」は、「アレグラFX」のジェネリックです。
添加物が異なりますが、アレグラFXより安く購入できます。

病院に行くか、市販薬を買うか、ネット診察にするか

市販薬は手軽です。
眠くなりにくいお薬も販売されており、通院時間もいりません。

しかし、病院で処方してもらう薬は、より効き目の高いものも多く、保険も利くので、1ヶ月の薬価も1500円以下に抑えることもできます。

ネット診察は、時間がない人で、より自分に合った効果の高いお薬が欲しい場合の選択肢になります。

ご自分に合った花粉症対策で、花粉症と眠気から解放されることを願ってやみません。